少人数制でないとダメな理由

約20年前のこと、私は某大手英会話スクールで英会話の講師をしていました。

初めてクラスを受け持つことになった年のことです。

当時私は3カ所の校舎で大人クラスと小学生クラスの8つのクラスを担当していました。とある駅前校の大人クラスは最大8名のクラスでした。

このクラス、前年度から一緒の会社員メンバーが7名。その中に新しく入会した方が1人。それが大学生のシャイな女の子Sさんでした。

私も初年度なので緊張をしながらの指導。そのSさんがみんなと仲良くなれる雰囲気を作るのに一生懸命。

確かに、みんなが顔見知りの会社員で、その中に大学生がひとりというクラスは、社交的でない彼女にとっては、居心地が良いとはいえない環境だったと思います。 

なんとか一緒にクラスで楽しんでもらえないかと思いながら、日々の授業に手一杯でした。次第にSさんはやすみがちになります。

指導に専念してください

彼女のことを心配して、当時のマネージャーに何度話してみても「指導に専念してください。フォローは自分たちがします。」との返事。

大手の英会話スクールなので、集客や生徒のフォローはメインがスタッフさんの仕事になっていて、私は何もできませんでした。

彼女のアルバイト先が教室の近くだったのでそちらに見に行ってくれたと後日聞きましたが、その時にはSさんは完全にクラスに来なくなってしまいました。

私は今だにその子のことを忘れることができません。

申し訳ないという気持ちと後悔ばかりが残りました。

あの時なにかできなかったのだろうか、と自問を繰り返すばかり。

授業料も決して安くはない、あの子が一生懸命自分で働いて稼いだ授業料だとしたら・・などどうすることもできないのに、ずっと彼女のことを考えていました。

“彼女のような生徒さんをだしてはいけない”

その後私は”二度と彼女のような生徒さんをだしてはいけない”と自分の意思で決定や対応が決められるスクールを立ち上げる決心をします。このできごとがなかったら、私はスクールを立ち上げていなかったかもしれません。

大手のスクールは体制がしっかりとしていて、とてもいい面も多くあります。実際私が勤務していた会社もとても良い会社でした。しかし、大勢の生徒さんを抱えているのでひとりひとりのケアが行き届かない場合があるのも事実。

英語力も、理解力も個性も違うのにひとつの大勢のグループクラスで運営することに私は疑問と限界を感じ、5年勤務をしたのち、生徒さんにきちんと寄り添うことができるよう少人数制のスクールを設立します。

最初はたった2人だった生徒さん。

開講当時は生徒さんがたったの2人でした。ありがたいことに、現在はすべてのクラスが満席になっています。

少人数だから質問や発話がしやすい、少人数だから講師の目が行き届く、なにより講師と生徒さん、講師と保護者様の距離が近い。

私は入会前に保護者様のお子さんへの想いを必ず、うかがいます。なぜ英語を学ばせたいのか。そしてその想いを受け取ることをとても大切なことだと感じています。

私にお子さんの英語人生を託して下さるのですから、新しく入会されるお子さんと出会うたび、「この子を英語好きにする!」と毎回心に強く思っています。

お子さんを英語好きにして、保護者様も笑顔にしたい。

“私が英語が苦手で子供には苦労させたくない。英語好きにしたい。”そうおっしゃる保護者様は大変多くいらっしゃいます。だからこそ、お子さんを英語好きにして、”親子で笑顔にしたい“この気持ちは開講当時より変わっていません。

私の生徒さんや保護者さまへの想いがたくさんつまったスクールは、開講して7年を迎えています。

今目の前にいてくださる生徒さんをしっかりとみたい、この子達が10年先も輝いていけるようにサポートしたい。

私は絶対に少人数のレッスンで、と心に決めているので、少人数制を変えることはこの先もありません。