あと1点の壁に流した涙
悔し涙が止まらない
こんな経験は初めてでした。これまで英検指導をしてきた中で、生徒さんの結果にうれし涙を流すことはあっても、今回のように悔し涙を流すことはありませんでした。
私は英検指導を始めてもうすぐ10年になります。10年間、多くの生徒さんと出会いそれぞれのストーリーがありますが、今回の出来事は間違いなく忘れられないものになると思います。それは昨年のことでした。
「最後のチャンス」
中3の生徒さんは、昨年の5月から英検準2級の英検対策を私とスタートし、1か月後の6月の試験ではライティングスコアが100点アップ。合格まであと39点というところまで成績を伸ばしました。
それだけでなく、学校の定期試験の点数が20点以上アップし、内申点もあと少しで5に届く!と保護者の方もとても喜んでくれていました。
彼女は部活、受験勉強と忙しい中、夏休みも英検の学習をがんばりました。高校入試の出願を考慮して、この10月の英検試験を「最後のチャンス」として挑戦していました。
夏休みの涙
順調かと思えた矢先、夏休みのある日のレッスン中、彼女が突然泣き出してしまいました。涙ぐんでいる様子はZOOM越しでもわかります。
その場では、私は見なかったことにして普段通りレッスンを続けることを選びました。後で保護者の方に話を聞いたところ、「一生懸命覚えた英単語が、テストで答えられなかった悔しさで泣いてしまった」とのことでした。
「頑張っているからこその涙」。その思いを知って、私もさらに力を尽くしてサポートしようと心に決めました。
10月に従来型試験とSCBTを受験してもらいました。従来型試験ではスコア1308で合格まであと14点。SCBTの結果が出たのはその後日。
結果は…合格スコアまであと1点の1321。
しかも、英検の二次試験の面接は見事に合格していました。それでも「あと1点」が届かず不合格。この結果を見た瞬間、私は思わず「あと1点だなんて、合格させてあげてよぉ!」と叫び、そのまま悔し涙が止まりませんでした。後にも先にも、生徒さんのことで悔しくて号泣したのはあれが初めてでした。
教えるということ
振り返ると、この涙の理由が少しずつわかってきました。私はただの英語講師ですが、いつも「お子さんの英語人生を預かる」という覚悟で生徒さんに向き合っています。
送迎時に保護者の方に「お預かりします」と伝えるとき、それは「お子さんをお預かりする」と同時に「その英語人生を大切にする」という思いを込めています。
英語が苦手な子には好きになってほしい。もともと好きな子にはもっと好きになってほしい。そして、英語が将来の人生を支える力になるように──その強い思いで指導しています。
今回の「あと1点」の悔しさは、そんな私の思いと重なり、涙となって表れたのだと思います。
新たな一歩
生徒さんから最後のレッスン後にこんなメッセージをもらいました。
「受験が終わったら、またれいこ先生に英検を教えてもらいたい。英語は苦手意識が高かったけれど、楽しく学んで克服できました。本当に半年間ありがとうございました」
この言葉に、前を向く力をもらいました。泣いている場合じゃないよ!と自分に喝を入れて、また頑張ろうと思います。
英語を通じて生徒さんたちの未来を支えられるように、これからも全力でサポートしていきます。